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 コラム

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<2023.12.15>

水瓶にドボン,防除中のネズミ

 

 20231月,都内マンションの一室より,「ネズミが台所に出没している,なんとかしてほしい」との一報を受け,現場へ防除に向かった.現場を調査すると台所の換気扇上部の隙間に多くのラットサインがあり,ここから中途半端に開いた収納扉,蛇口等を通って台所内に降り,悪さをしている様子であった.台所内にはまだネズミが残っている可能性があり,収納扉を閉め,まずは粘着トラップを一晩敷いて捕まえてやろうと一枚ずつ敷いていると,視界の端で何かが動いた.目をやるとネズミが勢いよくキッチン台に上がり,そのまま長めの蛇口を上りきると,真下にトポン.

 「トポン?」

何の音かとシンク内を見ると,大きめの瓶(梅酒か麦茶等を入れる瓶か?)にゴム製の排水口カバー(菊割れフタ)がに乗せてあり,その中でネズミが溺れている.なるほどいつもは半開きの収納扉を閉めたため,扉に上がれずそのまま降りたということか.ネズミもゴム蓋に飛び降りて駆け抜けようと思ったのだろう瓶からネズミを出してみると,若いクマネズミであった.まさに濡れネズミ.その後一晩床面に粘着トラップを敷いたが,次なるネズミは現れず,換気扇上部の隙間を封鎖して防除は終了.依頼主も捕獲を意図して瓶と菊割れゴムフタを置いたわけではないが,結果的には見事な水瓶(みずがめ)トラップとなった.(佐々木 健,原 正次郎)


クマネズミも巣穴に住む

 

静岡県の御殿場にある東富士演習場で米軍兵士がツツガムシ病に罹患したのは1948年のことであた.これが新型ツツガムシ病(非アカツツガムシ型ツツガムシ病)発見のきっかけである.この事件を契機に新型ツツガムシ病についての大規模な調査が行われた.『七島熱の調査研究』(1952年,東京都衛生局予防課)はその報告書の一つである.報告書には,故加納六郎博士(当時東京大学伝染病研究所技官,後に東京医科歯科大学学長等を歴任)による,「伊豆七島の鼠について」という論文が掲載された.博士はその論文のなかで,クマネズミが巣穴の出入り口で捕獲されたことから,クマネズミも巣穴生活をするのだと指摘した.後日その記録を見た私は,面と向かって博士を批判した.巣穴の出入り口で捕まったからといってクマネズミの巣穴とは限らない,伊豆諸島にはドブネズミも住んでいるからドブネズミの巣穴の可能性もある,などとたいへん生意気な批判であったが,博士は笑顔で応えただけで何の反論もなかった.申し訳ない.

クマネズミが巣穴を作る習性を持つことは,私にとって今では常識であるが,当時は知らなかった.ただし,このような習性はクマネズミが屋外に営巣し繁殖する暖かい地域だけに見られることで,日本の場合には伊豆諸島,小笠原諸島,南西諸島以外に巣穴を見つけるのは難しいであろう.その他の地域では一般に建物内に営巣することになる.(矢部辰男)




<2023.06.30>


        
   稲作の強敵コメクマネズミ


 コメクマネズミ(Rice-Field Rat,Rattus argentiventer)はインドネシアやマレーシアなどに分布する稲作の大害獣であり,本誌にも何度か取り上げられてきた.なにしろ稲が登熟すると,周りからネズミが集まってきて,広い範囲の稲穂が一晩で一斉に食われてしまう(下図の中央の上方部分).しかし,いまだ良い対策は見つかっていないようだ.オーストラリアの研究グループが,早期栽培稲による誘引捕獲法を開発し普及に努めた.これは小さな水田区画をヤナ(漁具の一種)のような,多頭捕り罠をいくつか取り付けたフェンスで囲み,区画内の稲作作業を周りよりも早めに開始する.その後,早めに登熟した稲を求めてフェンスの周りに集まったネズミを一網打尽に捕らえる,という仕掛けだ.しかし,経費がかかり農民には不評である.また,稲作作業の行程は農家によってバラバラな場合が多いために,作業時期を統一して一斉駆除事業を行うのは難しい.天敵のメンフクロウも注目されているが,難点がある.フクロウがネズミを捕食する時期にはすでにネズミが大発生しており,フクロウの捕食ていどでは被害がほとんど減らない.しかし,次善の策としてはこの方法以外にないのだろうか.でも効果を疑う向きもある.フクロウは盗まれ,剥製屋に売られてしまうのではないかというのだ.(矢部辰男)
 


<2022.12.15>

        
   ネズミに齧られた種芋



 筆者ならびに斜向かいのお宅で相次いでネズミの害に遭遇した.筆者は,毎年,堆肥の発酵熱を利用して野菜の苗を育てている.堆肥置き場の大きさは1 m3 (1 m × 1 m × 1 m)である.堆肥の材料は,暮れに,公園に積まれた落ち葉をいただいて,米ぬか,腐葉土と混ぜて踏み固めて,上部にはビニールシートをかぶせて煉瓦で端を押えておけば自然に発酵する.1月末にサツマイモを伏せれば,3月中頃に発芽して5月の連休頃には畑に移植できる.ところが,今年,3月末に見てみると,6個の内4個は跡形もなくなくなっていた.残りの2個は半分以上が齧られていた.諦めて放置していたところ発芽してきた(写真).そのまま5月中頃に合計10本ほどの苗を移植することができた.ネズミの姿は見ていないが、堆肥に縦横にトンネルが掘られていたことからドブネズミと考えられる.捕獲用のパチンコにソーセージを付けて捕獲を試みたが成功しなかった.同時に種を播いたトマト,キュウリ,ナスの苗は丈夫に育った.(田原雄一郎


        この歯形,ハツカネズミかゴキブリか

 甘そうな洋菓子を包むビニルの角が円くかじられている.その穴は細かな歯形で縁取られていた(上側の写真,右はかじり痕の拡大).かじった犯人はハツカネズミだろうか.きっと,そんな思いで私のところに知らせてきたのだろう.ハツカネズミも円いかじり痕を作る.しかし,洋菓子の場合はゴキブリによるものであった.では,どうやって両者を区別するのか.ゴキブリの歯形はたいへん不規則だ.ところがハツカネズミの歯形は規則的で,1対の切歯を規則正しく動かした痕が残る(下側の写真).(矢部辰男)




        生ゴミの埋め立て処分地とネズミ

 1970年代初めのころ,神奈川県内の自治体からゴミ埋め立て地のハエ問題について苦情処理の協力要請があった.埋め立て地にはクロバエ類など大型のハエが発生していたが,苦情者宅には大量のヒメイエバエが飛び交っていた.この苦情者宅では養鶏場から出た鶏糞を裏庭で干していた.ヒメイエバエはこの鶏糞から発生したものであってゴミ埋め立て地とは関わりがない.1960年代から1970年代初めにかけては,多くの自治体が生ゴミなどを埋め立て処分しており,そこからはイエバエやドブネズミが発生して,しばしば大きな問題になった.イエバエの多いところにはドブネズミも多い,と唱える専門家もいたほどである.写真は1960年代後半に横浜市戸塚区(現在瀬谷区)内のゴミ埋め立て地でネズミ調査をしているところ.埋め立て地には一般にドブネズミが多いが,ここではクマネズミも捕れた(下の写真).おそらく今では一部の離島を除き,このような風景を見ることはできないであろう.(矢部辰男)




     青酸ガス燻蒸によるLST(戦車揚陸艦)のネズミ駆除

 来年2023年は米軍がベトナム戦から撤退して50年になる(戦争終結は1975年).当時横浜港に停泊していたLSTのネズミ駆除の様子を見学したことがある.青酸ガス(缶詰)を使った駆除で,横浜検疫所の職員に案内してもらった.たいへん危険な作業だが,この方法ならばネズミに限らずすべての害虫が駆除されたことであろう.日本も後方基地となり,LSTには多くの日本人が船員などとして乗り込み,ベトナムとの間を往復し協力していたようだ.軍事物資はもとより枯れ葉剤なども運んだという.ところで,青酸ガス缶詰は,1940年代終わりから1960年代初めころ,愛媛県宇和島海岸地方でドブネズミが異常発生した際にも使われたと聞く.ただし,そのような危険物は,もちろん今は存在しない.(矢部辰男)











<2022.06.15>


ベトナムの洗骨葬とドブネズミ


 ハノイ空港から市内に向かう道路沿いには水田が延々と続く.ベトナムには水田が多い.6年ほど前,ハノイから観光バスでベトナム北部の観光地,ハロン湾へ行ったときのこと,水田の中に棺が点々と並んでいた(写真には写っていない).ガイドによればこれは洗骨葬のためのものであるという.死者を葬った棺を水田に一定期間安置しておくとナマズが食べてくれるのできれいになる.後日,遺骨を取り出して正式に土葬にするという.洗骨には,3年間土葬にした後に遺骨を洗い出す方法もある.ガイドのこのような説明を,そのときは適当に聞き流していたが,その後気になる情報が耳に入った.水田にネズミが多いというので知人が調べたところ,それはドブネズミであったという.もしかするとナマズだけでなく,ドブネズミも洗骨に加わっているのではないか.ドブネズミは泳ぎが得意なうえに肉類を好む.ベトナムにとってこれは許容できる実情ではないと思う.(矢部辰男)





<2021.12.15>

ノスリはネズミを食べ残す


これは小笠原諸島の南島(写真:父島列島に属する無人島)で見たできごとである.2009~2010年ころ,島を訪れたところ,クマネズミやオオミズナギドリの死体がたくさん転がっていた(写真:ノスリに食べ残されたクマネズミの内臓).オガサワラノスリに襲われたものである.島は低木と草原に覆われているので,ネズミを捕らえるのはノスリにとってたやすいことであろう.それにしてもノスリはずいぶんもったいない食べ方をするものだ.餌食のネズミを完全に食い尽くすのではない.

北海道の根室半島沖にあるユルリ島とモユルリ島(これらも低木と草原で覆われた無人島)にも秋ごろノスリが飛来し,春から夏にかけて大発生したドブネズミ(この時期は海鳥たちの繁殖期で,ネズミたちは海鳥やその卵を食べて大発生する)を食い散らかす.これらの死体は腐ることなく雪下に残る.ノスリに襲われずに生き残ったドブネズミたちはこの死体を食べて積雪下で繁殖すると推測される.雪下で繁殖したネズミたちは春から夏に海鳥を襲って繁殖する.ドブネズミたちはこんな,春~夏と冬の繁殖サイクルを繰り返しながら北の無人島に生き続けるのだ.(矢部辰男)



ノスリのペリット

これは小笠原諸島の西島(父島列島に属する無人島)の話である.草原に毛の塊が落ちていた.ノスリのペリット(消化されずに吐き出された物)である.ペリットを広げてみると,ほとんどがクマネズミの毛で,そのほかに歯や爪(下の写真右上)も出てきた.(矢部辰男)



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